LINEやメールより断然、手紙派です

　中学時代の雫と聖司の舞台は1988年。スマホもSNSもない時代の恋愛は、現役高校生の中川くんにとってさぞかし不便に映っただろうと思いきや…。

「めちゃくちゃキュンキュンしました！　僕も聖司と同じで本が好きでよく図書館にも行きますし、LINEやメールより手紙が好きです。文通とかもやってみたいです。相手がどんな字を書くのかも気になりますし、そのあと返事が来るかもしれないっていう楽しみもあるじゃないですか。やっぱり手渡しのドキドキっていうのは、いいですよね！　本当は友だちと交換日記もしてみたかったんですが、小学生のころから周りはみんなスマホを持っているのが当たり前だったので、やっぱり一緒にやってくれる相手がいなくて（笑）。だからこそこの時代の恋愛ややり取りが、うらやましく感じました」

　雫と聖司の恋のキッカケは、今はほとんど見ることがなくなった図書貸出カード。当時は学校の図書館で借りる本には必ずこのカードが差し込まれており、誰がその本を借りたかが一目瞭然なのだ。

「今は全部バーコードで読み取る形式なので、図書貸出カードというものを見たことが一度もないんです。なので誰がこの本を借りたかはもちろんわからないですし、『耳をすませば』のような恋愛は起こりようがないです（笑）。でも撮影とはいえ、図書貸出カードを実際に見られてテンションが上がりました」

　聖司は本好きで一見物静かな王子様キャラ。でも雫のことを本当は好きなのに、裏腹な態度をとってしまうようなツンデレ要素も！　意外にも「そこはすごく共感できました」とひとこと。

「僕も恋愛に限らずですが、結構強がっちゃうところがあります。基本人見知りですし、人に対して素直になれないというか…、だんだんゆっくりと心を開いていくタイプです。だから聖司が雫に対して少しずつ言いたいことが言えるような関係性になってから、告白をするっていうのは聖司らしいなと。あの告白の仕方はめちゃくちゃカッコいいですよね！」

　その告白シーンは街が一望できる高台で、朝日が昇るタイミングを計って撮影が行われた。

「とても大事なシーンだったので、何回かリハーサルを重ねて臨みました。まだ空が暗いうちから準備をしたのですが、朝日が昇った空はとてもきれいで、風景も含めすごく感動した記憶があります。僕自身、聖司のように10年も遠距離恋愛ができるかは今はわからないですけど、その間常に文通を続けていられたらきっと楽しいんじゃないかなと思う。たしかに周りに自分のようなタイプの人はほとんどいませんが、いつか同じようなタイプの女性に出会えたらうれしいな。よく漫画や映画である手紙で体育館の裏に呼び出されて告白とか…されてみたい！　でも高校生活もあと１年ちょっとなので、諦めています（笑）」